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Vol.04 ワクチンについて考える

書籍『ペットを病気にしない』の著者、本村伸子獣医師が2002年に開催したセミナーより、ワクチンに関する内容の要約です。


現在のワクチンプログラムは、仔犬・仔猫の時期に2〜3回混合ワクチンを接種。そして1歳になったら同じワクチンを接種し、それ以後は毎年ワクチンを接種。これが当たり前の様に、いやむしろ「私はちゃんとワクチンを受けさせています」といった飼い主としては常識の事のようになっています。しかし世界的な傾向としては、ワクチンをあまり接種しない方向性に向かっているのです。


1997年5月、アメリカのワクチンに関するシンポジウムでワクチンの接種の間隔は3年以上にすべきで、毎年の抗体チェックをして予防するという結論に至りました。アメリカでは2002年の半ばには新しいプログラムに沿ったワクチン接種が始まるようです。


1.ワクチンの副反応
薬には必ず副作用があると言われています。それが出るか出ないかは個人的に違いがありますが・・・人間の手で作られた化学薬物などの治療薬や病気を予防するためのワクチンは完全なものではありません。期待される反応の反面、マイナスの反応があることを忘れてはいけません。


2.ワクチン接種によってわかっている副反応

1 アナフィラキシーショック
最も頻繁に見られる副反応である。特に犬の場合、ワクチンに含まれるレプトスピラのワクチン接種時に要注意。
2 ワクチン接種後犬ジステンバー脳炎
3 免疫介在性溶血性貧血
ワクチン接種後1ヶ月以内に起きる
4 自己免疫性再生不良性貧血と免疫介在性血小板減少症
犬パルボ弱毒性生ワクチン接種後1〜2週間以内に生じる可能性がある
5 猫の繊維肉腫
猫白血病ワクチン(狂犬病ワクチン)接種により、注射の接種部位に非常にまれではあるが繊維肉腫が見られる事がある。現在では、ある特定の製薬会社が造ったワクチンのみで生じる事が分かっている。

すでにこれだけのワクチンによる副作用が分かっています。
狂犬病のワクチン接種によって、年間10頭の犬が死んでいます。
もしこれが人間ならばとても大きな問題になっていますが、ペットである為に何の疑問も無く続けられています。


3.ワクチン接種によって疑われる副反応
1) 皮膚炎
2) 関節炎
3) アレルギー
4) てんかん様発作
5) 腫瘍やガンなど
6) 問題行動


4.ワクチン接種時の注意
1) なるべく混合ワクチンを避ける。自然界において同時に7種類ものウイルスが感染するような事はありません。身体が混乱してしまい、免疫の抑制が生じることが分かっています。
2) 注射の間隔を2〜4週間あける
3) 獣医師に感染状況を確かめて、本当に必要なものだけを投与する。
4) 絶対に毎年接種しない。毎年必要だという疫学的な必要性はないことがわかっています。
5) ワクチン接種の前後で免疫力を強化(接種するときは最も状態が良い時に行なう)
6) 感受性の違いがあります。
・犬種ごとの敏感性の違い
・年齢ごとの感受性の違い−パルボは特に仔犬の時に高い。感染しても発病するのは5〜10%
・ジステンバーへの感受性−感染したほとんどんがワクチン接種済み。ワクチンを接種した動物の方が感受性が高くなると言われている。
7) 健康な状態の時にしか接種をしてはいけません。
(皮膚病、アレルギー、てんかん・・・健康な状態とは言えませんね)


5.ホリスティック医学と自然療法
ホリスティック医学とは『全ての、全体』という意味があります。
従来の西洋医学は病気の症状に焦点を合わせていますが、ホリスティック医学は心の問題も含めた患者全体を治療することで、自然治癒力を回復させることを目的としています。

食事、環境、遺伝的な背景、ワクチン接種の有無、精神状態など様々なものが個体によって大きく違ってきます。
病気だけを見て薬物や外科的処置によって治療するのが今の動物病院での治療方法です。

自然治癒力を基本理念に置いて、自然治癒力を高め、病気に対抗できる身体を作るのが自然療法です。
自然療法で最も重要なことは、解毒(体内に蓄積した毒素を排泄させる事)です。そして、病気とはこの解毒過程で生じるものだと考えているので、身体に蓄積された様々な有害物質を身体の外に排泄させることも、元気な身体を作る上で大変重要です。


6.ワクチンに対してのホリスティック的対処方法
1) 絶対に接種しない−最も安全な方法は、ワクチンを接種しないこと
2) 仔犬や仔猫の時のみに接種
3) 抗体価のチェック−感染症に勝てる力があるかどうかの抗体価チェックを行なう
4) 免疫力の強化−ワクチン接種前後3〜4週間 免疫力を強化
(サプリメントやハーブにて)





追記

2003年、本村獣医師のセミナーより

アメリカのワクチンの最新情報をご紹介します。
ワクチンに関しての1つの参考資料になればと思います。

7.「犬のワクチンに関するガイドライン 2003年版」
アメリカ動物病院協会(AAHA)


はじめに.
この論文はアメリカ動物病院協会(AAHA)により「犬ワクチン委員会」メンバーとの協力により刊行されたもので、臨床医が現行のワクチンを利用して来院犬に対して適切なケアーを行う上での方針決定を助ける目的で作成されている。ワクチンの免疫持続期間に関する既発表の科学的情報は限られたものであるため、ここに示すガイドラインは限られた科学的事実に基づいたものではあるが、委員会のコンセンサスと専門家の意見、さらには臨床的経験に基づいたものであることを付記しておく。また、本ガイドラインが唯一の臨床的プロトコールではなく、個々の患者、個々の病院の様々な事情に見合う形で、それを変更することはもちろん正当化されるものである。

1.ワクチン内容の分類
コアーワクチン(6ヶ月齢以下のすべての子犬に必須)
犬ジステンバーウイルス
犬パルボウイルス
犬アデノウイルス2型
狂犬病ウイルス
ノンコアーワクチン(リスクに応じて使用)
犬パラインフルエンザウイルス
レプトスピラ
ボルデテラ
ライム病
特に勧められないワクチン(重要度の低いもの)
上記以外の病原体


2.ワクチンの使用頻度
現行のワクチンには製造者側の推奨事項として、初年度シリーズの接種、1歳以降の毎年(あるいはそれ以内)の追加接種が記載されている。このうち初年度シリーズの接種については疑問の余地はない。しかしながら、人間と動物の免疫持続期間に関する知識の増大と共に、毎年の追加接種については疑問が持たれるようになった。
利用可能なワクチン、病気の激しさや発生状況、ワクチンの効力をもとに、ワクチネーションのガイドラインを表1にまとめた。免疫持続期間は、ワクチンの種類などにより異なるものであるが、これまでに発表された科学的情報によれば、1年以上のものは多いことがわかっている。(表2)

3.まとめ
AAHAはこの論文の作成にあたり、臨床医に対する情報提供、臨床医の間に存在する誤解の解消、臨床医が動物の免疫は完全に医学的な処置であることを認識することを目標とした。すなわちワクチネーションは他の医学的処置と同じに、個々の患者のニーズに合わせて計画しなくてはならないものである。そして各臨床医は、患者の利益を優先する立場から、個人が信じる最良の処置を行えばよい。またワクチーションは、個体の免疫以外にも、集団免疫にも寄与るすものである。個々の患者で十分な免疫応答が得られているがどうか、簡便かつ信頼性を持って測定する手段がないため、より多くの個体にワクチン接種を実践すること、各個体においては必要以上には接種を行わないこと、これらの臨床哲学の実践を推奨する。


表1 犬のワクチンガイドライン
ジステンバーウイルス
初年度
(≦16週)
1回目 6−9週
2回目 9−11週
3回目 12−14週
初年度
(>16週で来院)
1回接種
追加接種犬 1歳齢
犬パルボウイルス
初年度
(≦16週)
1回目 6−9週
2回目 9−11週
3回目 12−14週
初年度
(>16週で来院)
3−4週間隔2回 1回接種も可
追加接種犬 1歳齢
パラインフルエンザウイルス
初年度
(≦16週)
1回目 6−9週
2回目 9−11週
3回目 12−14週
初年度
(>16週で来院)
1回接種
追加接種犬 1歳齢
レプトスピラ
初年度
(≦16週)
1回目 6−9週
2回目 9−11週
3回目 12−14週
初年度
(>16週で来院)
2−4週間隔2回以降毎年
追加接種犬 1歳齢
ハイリスクでは6ヶ月毎

表2 ワクチンの免疫持続期間の効果(日本国内で使用可能なもの抜粋)
コアーワクチン 免疫持続期間 効果(%)
・犬ジステンバーウイルス
・犬パルボウイルス
・犬アデノウイルス2型
≧7年
≧7年
≧7年
>90
>90
>90
ノンコアーワクチン
(リスクに応じて使用)
・犬パラインフルエンザウイルス
・レプトスピラ
≧3年
≦1年
>80
≦50−75


以上、本村獣医師のセミナー内容をまとめました。

大切なのはその個体に合わせて考えてあげることではないでしょうか。

今回はアメリカのワクチンに関しての内容です。
アメリカでのワクチンの間隔は確実に広くなってきています。


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