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Vol.06 犬と猫の食性、嗜好性などの違い
1.
犬と猫の食性の違いは歯式や腸管/体長比にも現れています。
犬は猫より臼歯が多く、腸管が長くなっています。猫の盲腸は短い虫垂状で、ほとんど機能していないのに対し、犬の盲腸は勾玉(まがたま)状で、猫よりは容積が大きくなっています。猫が完全な肉食動物であることは、きわめて限定的な炭水化物の消化能力や代謝能力からも裏づけられます。つまり、食事中の炭水化物が乾物当たり40%以上になると、下痢や鼓腸など消化不良の徴候をしめし、高グルコース血症や尿中へのグルコース排泄など、代謝への有害な影響が生じることもあります。
市販のキャットフードの中に炭水化物が40%のものは無いと思います。
猫ちゃんのごはんを手作り食にされている方は、炭水化物が多すぎないように気をつけてあげて下さい。炭水化物が多すぎると下痢をしたり、その食事内容が続くと病気になることもあります。
犬と猫では必要な栄養素が違います。犬にキャットフードを与え続けたり、猫にドッグフードを与え続けたりなど、間違った食事内容を続けると病気になります。犬にはドッグフード、猫にはキャットフードを食べさせて下さいね。
2.
犬の先祖が群捕食者であったのに対し、猫の祖先が単独捕食者であったことも、嗜好性や採食パターンに大きな影響を及ぼしています。犬は甘みを好みますが猫は炭水化物(糖)の味である甘みを好みません。サッカリンのような人工甘味料でも同じです。
犬は群捕食者として自分よりも大きな獲物を狩るので、1回の狩から次回までにかなりの時間が空く間欠捕食者です。一方、猫は単独捕食者として自分よりはるかに小さな獲物しか捕まえられないので、1日何回も狩りをする少量頻回採食者です。したがって、イエイヌには明瞭な採食パターンがありますが、イエネコは昼夜を分かたず1日に10〜15回も食べたりします。犬は群で大型動物を狩りし、獲物が余ると地面に埋めておいて後で掘り出して食べる、腐肉食者であり、冷たいものでも喜んで食べます。一方、猫は新鮮肉食者で体温程度の暖かいものを好みます。
さらに食性の違いは栄養素の代謝にも影響を及ぼします。一言で言えば、肉食動物であり続けた猫に比べ、犬は雑食化によって代謝が複雑化したといえます。猫は植物成分であるカロチンをビタミンA(レチノール)に転換できず、糖の代謝能力も低いのです。肉に多いタウリンやナイアシンを体内で合成する能力も必要としなかったのに対し、犬は雑食化したためにそれらの代謝能力をすべて身につけました。
犬の場合、食事の時間が決まっていますが、猫の場合には常に食べれるように置いておく事が多いと思います。うちの猫もそうですが、1回でたくさんの量を食べずに少しずつ、ちょこちょこと食べています。猫はお水も冷たいものより、少し暖かいものの方が好きなようです。よくお風呂場でお水を飲んでいる子いませんか?お水もぬるま湯の方がいいようですね。
猫はカロチンをビタミンAに変換できません。例えばカロチンが豊富なにんじんを食べてもビタミンAにはならないのです。ビタミンAの含まれてるものを食べる必要があります。(犬はにんじんを食べてビタミンAに変換できます。)猫にはタウリンが必ず必要です。ペットフードには必ずタウリンが含まれています。このような事からもドッグフードを猫に与えてはいけないんですね。猫ちゃんにはキャットフードを食べさせてあげて下さい。
3 .
猫は食に関して頑固で、たとえ空腹でもきらいなものは頑として食べないという1面があります。そうそう、とうなずいている飼い主さん多いと思いますが・・・。犬は猫ほど頑固ではありません。一般に、離乳前後に口にした食べ物の味がその後の嗜好を決定付けるといわれており、離乳時期に多様な食べ物を口にするほど嗜好の幅が広がるとされています。
一方、矛盾するようですが、猫は食に関して気まぐれで、それまで喜んで食べていたものをある日突然食べなくなったりする事があります。その要因として、安定した環境では慣れた食事より新奇な食事を好むが、ストレスが多い環境では慣れたものしか食べないという観察があります。
また、突然食べなくなるのは一種の学習によるとする説もあります。たまたま感染症などで胃の具合が悪くなったりすると、それを食事と結びつけて記憶し、以後はその食事を食べなくなると言う事だそうです。有害物を回避するため、すべての野生動物がこのような学習能力を身に付けています。
砂漠地帯で進化した猫は飲水量が少なくても耐えられるよう、腎機能が発達しています。すなわち、尿細管から水を効率よく再吸収して尿を濃縮し、尿中への水分排泄を最小限に抑える事が出来ます。しかし、飲水量や尿量の少なさは、猫で尿結石が多発する原因の1つとなっています。
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